7.

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真祝が呟いた言葉に、二海人が瞠目したのが分かった。 「まほ、本気で言ってるのか? 」 「何を? 」 「いや、まさか、あの坊っちゃんより? 」 瞬間、カッと頭に血が()ぼる。 「なんだよ、それっ! 俺はお前に、ずっと言い続けてきたじゃないか! 俺は、生まれてこの方、お前以外を、好きになったことなんて、ないっ! 」 興奮して話したせいか、はぁはぁと呼吸が苦しい。胸の痛みがそれに拍車を掛け、涙がボロボロと溢れてきた。 「お前も、報われない相手を想ってるって、のは、分かった。その気持ちが、分かんない訳ではないから、さっき言った通り、俺はお前を赦してやる。だから、お前も、俺にお前を……、諦めさせ、ろ……っ 」 「どういう意味だ? 」 「俺を、抱けっ……!」 もう、苦しいんだ。身体と心がバラバラで、おかしくなる。均衡を保てない。 「お前、自分で言ってること分かってる? 」 近付いてきた二海人に掴まれた腕が、ビクッと震えた。 「そんな指輪して、俺に抱かれるっていうのか? 」 「指輪は、外さない。今だけ、だ。1度だけ俺を抱いてくれたら、もう、お前に無理は言わない。……一生、会わなくてもいい 」 真っ直ぐに二海人の瞳を見詰めれば、真祝が本気なのを理解したのか、大きなため息を()きながら二海人が言う。 「……(つがい)以外とのそういう行為の拒否反応は、相当エグいぞ? 」 「自分のことだよ? 言われなくても分かってる 」 今だって、腕を掴まれただけなのに身体が強張る。震えが止まらない。この場から逃げ出さないように、踏み留まるのがやっとだ。相手は二海人だっていうのに。 そんな真祝を見て、苦笑しながら二海人が眼鏡を外した。カシャン……と、テーブルに置く音が部屋に響く。 「お前、本当に馬鹿だな。Ωが、αより、運命の(つがい)より、βを選ぶなんて聞いたことねぇよ 」 「……! だからっ、馬鹿って言う……」「黙れ 」 二海人に人差し指で顎を持ち上げられたと思ったら、次の瞬間には口唇が重ねられていた。
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