7.

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真祝の状態を確かめながら、何度も口付けを重ねてくる。 不思議だ。二海人のキスはまるで薬の様に、苦しさを和らげる作用があるみたいだ。ムカムカとした嘔吐感はあるのに、本当の苦しさは見えない膜の向こう側で抑えられている気がする。 初めは抵抗していた真祝も、その優しくて甘い麻薬の様な口付けに抗うのを()めた。それに気付いたのか、段々に深くなってゆく口付けに合わせるように、二海人が動きを止めていた腰を揺らし始めた。 「ぐ……っ?! ん…… 」 「直ぐに終わらせるから。……ごめん、な 」 心とは反対に逃げようとする身体を、宥める様な口付けを与えながら押さえ付ける。内壁を擦られる動きに吐き気と頭痛は増したが、二海人の欲望を体内でダイレクトに感じて、嬉しさと切なさが()い交ぜになり心臓が引き絞られる様に痛くなった。 「へい、き。すき…… 」 発情期でも、もう誘うようなフェロモンを放っている訳ではない。それを感じることが出来るのは(つがい)である央翔だけだ。 それなのに、二海人は自分に欲情してくれている。 「すき、二海人。すごく、すき、いちば、ん、すき 」 「……っ 」 突然、脇の下から入れられた腕が肩を掴み、引き寄せ、身体の最奥まで二海人の雄茎を呑み込まされる。内臓がせりあがる感覚に今度こそ我慢し切れそうになくなって、二海人の肩に噛み付いた。 「く……、ま、ほ? 」 「いい、から……っ。 絶対に、()めない、で。最後までして 」 身体を蹂躙する凶器に似たそれに、早く奥まで濡らされたかった。溢れるくらいに貰うまで、安心なんか出来ない。 「欲しいよ、早く 」 「……分かった 」 抽挿が激しくなった。揺さぶられる度に視界が瞬く。更に酷くなる不快感を堪えるため、真祝は、もっと深く二海人に歯を立ててしまう。鉄の味が口の中に広がった。皮膚が破れて、相当痛いと思うけれど二海人は何も言わない。真祝にしても、こうしなければこの苦しさに耐えられそうになかった。 しがみつき、揺り動かされるままの真祝の内側を押し広げ、容積を増す灼熱がぐっと奥まで突き入れられる。子宮口に熱い体液をぶつけられ、「あ…… 」と口から声が漏れた。
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