2825人が本棚に入れています
本棚に追加
「そのメールの後っ、1ヶ月も連絡が取れなくなるってどういうことですかっ! 」
「……静かにしろ 」
声を荒げる央翔に、今度は真祝がため息を吐く。
「騒ぐな、近所迷惑だ。お前んトコの豪邸とは違うんだよ 」
ぐっ……と息を詰めた央翔が、声のトーンを落とす。
「でも、それまで、あんなこと無かったじゃないですか 」
自分でも理不尽なことを言っているとは分かっていた。央翔が自分を詰りたいのは当然のことだと思う。それだけのことをしている自覚があるから、央翔の顔を見ることが出来ないのだ。
「何かあったと分かって、直ぐにこのアパートに来たけれど貴方はいないし。貴方の性格上、予め約束を断ることはあったって、人を待たせた状態で断ることなんかないから余計…… 」
「何、人のこと分析してんだよ 」
央翔が、あの時思った通りの行動を取ったと知り、やはりこの部屋には戻らなくて正解だったなと思いながら、同じ事をしている自分達に可笑しくなる。そうだ、一緒に居た1年という期間は、決して短いものではない。
「ちゃんと聞いてください。 俺は、心配したんです。京香が、真祝さんと会った時に様子がおかしかったと言うから、本当に心配してた。ずっと、探してたんですよ 」
「頼んでない 」
「真祝さん…… 」
業を煮やしたのか、部屋に上がり側に寄って来たのが気配で分かる。
「もう、意地を張るのはやめてください。俺が何かしたのなら謝ります。言いたくないことがあるなら無理には聞きません。さっき、頭に血が上って大声を出したのもすみませんでした。だから…… 」
別れるとか、言わないでくださいーーー。
傍らで膝を折った央翔に、左手を取られる。両手で祈るように懇願され、真祝は俯いた。
「真祝さん。お願いですから、顔を上げて。俺のことを見てください 」
最初のコメントを投稿しよう!