7.

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覗き込まれそうになって、慌てて顔を逸らす。嫌われなくてはいけないのに、泣きそうになっている場合ではない。泣く資格なんて自分には無い。 真祝はすぅ……と、息を吸った。 「……他の男と、寝た 」 「え…… 」 そんなことを言われるなんて想像してもいなかったのだろう。央翔が息を飲むのが分かった。 「発情期だったしさ、我慢できなくなったっていうの? 誰でも良かったっていうか。お前だって知ってるだろ、俺が発情期の時、ど淫乱なの…… 」 「真祝さん 」 もし会った時にと用意していた台詞が、口の中で上滑りしてまろぶ。それを止めたのは央翔だった。 「それは、真祝さんの意思ですか? 」 温度の下がった声に、ゴク……と喉が鳴る。真祝は静かに瞼を伏せた。 これは全て自分の弱さと我が儘が引き起こしたことだ。自分の想いと都合で、二海人を騙して、央翔の優しさを利用して。だから、きちんと自分でケリを付けなければいけない。 真祝は瞳を開くと、顔を上げた。心を決めて、央翔の方に向き直る。 「そうだ、俺の意思だ 」 真っ直ぐに見詰めてくる瞳に、挑むように言った。 見開かれた目が炎を宿す。次の瞬間、ブワ……ッと威圧的なフェロモンが央翔から発せられた。全身の毛穴が総毛立つ。 「どうして……? 」 「そっ……の匂い、やめろっ! お前らαのそれっ、俺達からしたら凶器と同じなんだよ! 」 「……?! 」 αの、しかも(つがい)の激しいフェロモンを浴びても(ひる)まず言い返せる真祝に違和感を感じたのか、央翔が(うなじ)に顔を寄せると、スン……と匂いを嗅いだ。そして、何かに気付いたのか、真祝の両肩を掴んで揺さぶる。 「真、祝さん! 貴方、まさか……っ!? 」
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