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「痛……っ 」
「妊娠してるんですか?! 」
言い当てられて、ビクリと肩が揺れる。それは、その問いに答えたも同然だった。
「子供が…… 」
抑揚の無い声。みるみるうちに、央翔は顔色を失くしていく。
「相手は、誰です? 」
「……自分だとは思わねぇの? 」
「貴方は俺に抱かれる時は、避妊に、あれ程気を使っていた。俺との子の訳がない。……誰の子なんですか? 」
「知らね…… 」
「知らないってことはないでしょう!! 相手は一体誰なんですか?! 」
肩を揺さぶる手が強くなる。ぶつけられる感情が掴まれる肩より痛くて、真祝は叫んだ。
「知らねぇったら、知らねぇよっ! この前の発情期に俺のことを抱いたヤツだ!」
「貴方って人は……っ! 」
「……! 」
突然、突き飛ばす様に手を離される。床に叩き付けられた真祝は、まだ出てもいない腹を庇いながら倒れた。それを見ていた央翔が笑いだす。
「央……翔? 」
「流石、Ωですね。父親が誰か分からない子でも大切ですか? 」
いや、笑っていたのではなかった。ガタンと音がして、顔を上げた真祝の目に映ったのは、長い足を床に放り出して両手で頭を抱える央翔の姿だった。
「これ……がっ、貴方の復讐ですか!?」
ポタリと床に落ちる雫。
「やっぱり、無理矢理にでも孕ませてやればよかった!貴方を信じて、気持ちを尊重しようなんて思った俺が馬鹿だった……!!」
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