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復讐……? そんなこと、思いもしなかった。 こんな自分のことを、一途に求めてくれる央翔のことが可愛かった。 真っ直ぐな愛情は、この1年、ずっと好きだった人から受け入れられなかった渇望を癒し、喪失感を埋めてくれたから。 実際、次の発情期には央翔の願いを叶えてやろうと思っていた。央翔の子供を産んで、おとぎ話の様に幸せになるのだと決めたからこそ、求婚(プロポーズ)を受けたのだ。愛せると、愛していると思っていた、京香から話を聞いて二海人の所へ行くまでは。 ……でも、今更何を言ってももう遅い。自分はあの日、二海人の所へ行ってしまったし、罪悪感と同情心で抱いてもらい、好きな男の子供を望み、内緒で身籠った。 「……真祝さんは俺のこと、一生許さないと言っていましたね? 」 どれ位の時間が経ったのか。ポツポツと央翔が話し出した。 「信頼させて、その気にさせて……。俺を傷付けるためにこんなことをしたと言うのなら大成功ですよ、貴方の勝ちです。でも…… 」 央翔は俯いたまま、こちらを見ない。言葉を探しながら話している、真祝に対する報復の言葉を。 「でも貴方がどんなに俺のことを憎んでいたとしても、俺が貴方の(つがい)だということは、一生変わらない事実だということを忘れないでください。心も身体さえも俺にくれないというのなら、これから一生満たされない発情期に苦しめばいい…… 」
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