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「嘘言うんじゃないわよ! 」
「嘘じゃありません! 」
自分だけならまだしも、自分勝手な我が儘で、二海人を騙してまで手に入れた命だ。自分が生きるために。
「有り得ない 」
瞳を真っ直ぐに見詰め返すと、「あ……」と、みすずが口を開いた。ピタリと動きを止めた妻に、三崎がはぁとため息を吐く。
「なんだ、またみすずの早とちりか 」
「だ、だって、この子、こんな寒い深夜に、真っ暗な浜辺で荒れた海見てたのよ?!」
「ハイハイ、分かった分かった。君にも悪いことしたね 」
そう言うと、『まぁ、飲みなよ』とテーブルの上の暖かい飲み物を勧め直す。真祝が躊躇していたら、「確かにみすずの勘違いかもしれないけどさ、君にそのつもりは無いとしても、あー……、その、君、妊娠してんだろ? こんなに寒い夜に外に居たら、身体に障りがあるのは分かるよな? 」と穏やかな声で言われた。
「……はい 」
「うん、素直。良いコだね、君。」
良い子……? 僕が? そんな訳ない。
今の自分に1番似つかわしくない言葉に、真祝は自嘲的に微笑った。
「君……? 」
それを見た三崎とみすずが、何故か痛ましいモノを見るような顔をしたのが、不思議だった。
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