小鳥の憂慮、或いは月の贖罪と錯誤。そして、あらゆる劣情。

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「明日は海音ちゃんと2人でチュッキーランドに行きたいんだけどいいかしら? 」 「え、2人で? 」 真祝は夕食後のデザートに皆で食べていた、みすずのお土産のフルーツミルクレープをフォークから取り落としそうになる。 「そうなの、さっき約束しちゃったの 」 「ねぇー 」とみすずが言うと、「ねぇー」と海音も嬉しそうにみすずに返す。 「それって、俺達も一緒に行ったら…… 」 「駄目よ、海音ちゃんと2人でデートなんだから。折角の休日なんだし、たまには夫婦水入らずでゆっくりしなさい 」 夫婦水入らずって、それが1番困るのに。結婚してから、ずっと俺達の間には海音が居た。 二海人と二人っきりになってもどうすればいいのか分からない。 「それとも、大事な海音ちゃんを丸1日、私に預けるのは心配? 」 それは無い。みすずと三崎は、1人で子育てする自分をずっと助けてくれていた。発情期で苦しい時も、みすずが家に泊まってくれて自分と海音の面倒を見てくれた。 打算無く接してくれたみすずには、信頼と感謝の思いしかない。 「そんなことは無いですけど…… 」 チラリと二海人の方に視線を向けると、二海人がこちらを見ていてドキッとした。慌ててみすずに視線を戻すと、みすずが苦笑している。 「みすず、さん? 」 「あのね、さっき嵐柴さんには話をさせて貰ったの。あなた達には、じっくりと話す時間が必要よ 」
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