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「ねぇ、好き。二海人は? 」
「俺もだよ 」
「どれくらい? 」
好きだと言って、自分を好きか問う。もう何回繰り返しただろう。
何度でも聞きたい。でも、聞いた瞬間にまた聞きたくなる。
「言葉なんかじゃ足りねぇよ 」
「やだよ、ちゃんと言って 」
二海人の瞳が柔らかく細められた。胸の先を弄んでいた指先が真祝の頬を撫で、額に張り付いていた髪を払ってくれる。
「言葉になんか出来ないくらい、好きだ 」
そう言う二海人の声は優し過ぎる程に優しくて、胸がいっぱいになる。それでももっと欲しいと思ってしまう自分の欲はなんて際限が無いのだろう。
「僕の、だよね? 」
ゆったりとした律動は、仄暖かい海に揺蕩っているかのように、ゆらゆらと真祝を揺らす。
「全部、本当に、僕のだよね? 」
「あぁ、全部お前のものだ」
歯痒くてもどかしいのに、擦り上げ、送られる度、甘い熱が体全体に広がっていくような気がした……。
もう、何回目だろう。抜かないまま、3度目の熱に穿たれていた時だった。ピンポンとインターホンの鳴る音が聞こえる。
その時やっと、外がすっかり暗くなっていることに、気付いた。
「……!、帰って、きた?!」
ピンポンピンポンと立て続けに鳴らされて、甘過ぎる世界から現実に引き戻される。
二海人が「……だな 」とため息を吐く。
「仕方ない 」そう言って抜かれる感覚にも感じてしまい、ビクンと全身が震えた。道をいっぱいに満たしていた楔が失くなり、放たれた残滓が外に溢れ出る。
発情期だったら確実に孕んでいただろうなと思ったら、下腹部がズクンと重く痺れた。
身体は限界に近いのに、居なくなった存在が淋しくて堪らなくなり、起き上がろうとする愛しい男の腕を反射的に掴む。
見上げると、「そんな顔すんな 」と困った顔で頭を撫でられた。
そんな顔って、僕はどんな顔をしてるんだろう。
分かっていない真祝に苦笑して、二海人は、「少しだけの間だよ 」と触れるだけのキスを落としながら立ち上がった。
そしてベッド脇に落としっぱなしのシャツを急いで拾い上げる。
高い背に男らしく引き締まった体躯。均整の取れた身体と長い足。何も纏っていないとそれが更に際立ち、目が反らせなくなる。
素肌に直接シャツを羽織る背中、動く肩甲骨が綺麗でうっとりと見惚れていたが、自分も起きなければと気付いた。
「俺も、……っ? 」
立ち上がろうとした途端、膝がカクンと崩折れる。
「立てる訳ねぇだろ? 甘くみんな 」
羽織っただけのシャツにボトムを履きながら、二海人がクックッと笑った。
立とうとするけれど、腰は重く、足に力が入らない。
「なっ、なんで、お前は平気なんだよっ! 」
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