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「これ以上、お前のこと好きにならせてどうすんだよ 」
真祝は二海人の綿の黒いスタンドネックのパーカーがベッドの下に落ちているのを見付け、自分の方へと引き寄せる。
拾い上げて抱き締めると、太陽の匂いがした。
太陽の匂い、……二海人の匂い。
鼻腔いっぱいに吸い込むと、二海人の腕の中にいるみたいで安心する。くわっと1つ欠伸が出て、真祝は猫のように丸まった。
瞳を閉じると、遠くで可愛い海音のはしゃぐ声が聞こえる。
大切な人達の奏でる音が心地好い。
待ってね、直ぐにでも行きたいけど、暖かい温もりが気持ち良くて、身体が動かないんだ。
ふと、もう1人子どもが欲しいと、二海人の匂いに包まれながら真祝は思った。
今日とは違う。きっと発情期にはあの時みたいに拒否反応が激しく出るだろう。
だけど、二海人さえ居てくれれば大丈夫だ、自分達なら乗り越えられると真祝の中には静かな自信が芽生えていた。
「だいすき。ふみ、と 」
起きたら、僕の話、聞いてね。
優しい睡魔に誘われて、真祝は遠ざかる意識の中、幸せな気持ちで深淵へ落ちて行った。
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