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入り口でチェックを受けて屋敷の中に入ると、既にドレスアップをした人達が何人も集まっていた。
ざわざわとした喧騒が耳障りだ。
「パパ、ここ、おしろ? 」
二海人の手をしっかりと握りながら、海音がキラキラとした瞳で全体を見渡す。
急場で揃えたネイビーのフォーマルスーツとウィングチップのブローグシューズは、海音に誂えたように似合っていて、親の欲目かも知れないが一端の紳士を気取って見えて可愛らしい。
「……かもな 」
海音のお陰で、自覚のあった眉間の皺が取れたようだ。
一般住宅にあるまじき、広間も兼ねた大きなエントランスホール。
中央の豪華なサーキュラー階段は、頭上に輝くシャンデリアと相俟って、まるで舞台セットに見える。
まぁ、歴史のある久我家だから、こういう風に社交の場に使うためなのだろうが。
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