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振り返りながら、にこやかに仕事用の笑顔を作る。
「こちらこそ、お招き頂きありがとうございます! 」
しかし、山本の方が早く反応して大きな声で挨拶をしたので、追随して「……どうも」と頭を下げた。
そこには、αの中のαとも云える男が、今日のパーティーに相応しい出で立ちで、いつもよりキラキラしく立っていた。名実ともに生まれながらの王子としての品格は眩いくらいのオーラを放ち、人々の視線を集める。
央翔は山本に軽い会釈をし、二海人の方へ一歩足を進めた。
「……奥様には、来て頂けなかったようですね 」
あからさまに残念そうな顔をされたが、元々連れて来る気なんかこれっぽっちも無かった。本当は誘われたこと自体が迷惑だったし、第一、会社絡みでなければ絶対に来ない。
こんな逆シンデレラみたいな玉の輿イベントに、参加者でもないのに来る必要もない。
「折角お誘いしてもらったのにすみませんね、専務。実はウチのは今、体調があまりよくないんですよ…… 」
「真祝さんが?! 」
緑がかった明るい色の瞳が見開かれる。瞬時に平常心を失くした央翔に、二海人はクスリと笑った。
「大丈夫なんですか? 」
向けられる非難する目にこれ見よがしにため息を吐き、笑みを残したまま二海人は後頭部に手をやる。
「悪阻だ、君が心配する必要はねぇよ 」
「つわ……? 」
「俺だって休みの日くらい側にいてやりてぇが、k.G様の命令なら仕方ないだろ 」
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