blue bird

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****** サラリと優しく髪に触られる感覚に、目が覚めた。 眠い目を擦って開くと、ベッドに片足を乗り上げる様に座った二海人が、こちらを見て微笑んでいる。 「ん、お帰り 」 「ただいま 」 「海音は? 」 伸ばした手を取られ、手の甲に口付けられた。 「帰り道で疲れて寝ちゃったよ。ソファーに寝かせてきた。……それにしても、派手にやったね 」 二海人の視線を追うと、部屋の中がしっちゃかめっちゃかになっているのが見えた。 「そうだ、俺…… 」 思い出した。クローゼットから、タンスから、二海人の衣類やら雑貨やらを欲しいままに取り出したことを。 そして、それらは全部、ベッドに横たわる自分の周りに置かれている。 「……? ごめん、俺、何やって」 自分でも何でこんなことをしたのかよく分からない。呆れられると思い、朦朧としながらも謝れば、二海人がよしよしと頭を撫でてくれた。 「どうして謝るんだよ。上手(うま)く巣作り出来たな 」 「巣作り……? これが? 」 真祝は驚いて、自分の周りを見回す。確かに今迄も二海人のタオルや服を抱き締めて寝ることはあった。二海人の匂いは酷く落ち着く。妊娠してからそれが顕著に出ている気はしていたけれど。 「まさか、巣まで作ってくれるなんて、思ってもみなかった 」 そう言って嬉しそうに笑う表情に、ぎゅんと胸がときめく。 もしかして、今回悪阻が軽い1番の理由って、二海人が側にいてくれるから? 二海人の匂いに存在を感じて、包む様に安心させてくれてるから? でも、それって……。 「ねぇ、二海人。お前、本当にβ? 」 「何を今更 」 「実はαなんじゃないですか? 」 「正真正銘のβですが? 」 二海人が肩を竦める。だけど、Ωに巣作りさせるβなんて聞いたことない。 「……本当にそうでしょうか? 」 「そうでしょうよ 」 そうだよな、俺は他に(つがい)がいて、(うなじ )だって噛まれてんだし。 ……あぁ、頭が混乱してきた。 「だがまぁ、俺はβだけど 」 二海人が、真祝のおでこを人差し指で弾く。 「……てっ 」 「こうやって結婚して、一緒に暮らして、子どもまで授かってんだから、お前の(つがい)は他の誰でもない、俺だって思ってるよ 」
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