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あぁ、もうっ! どうしてコイツはっ!
感情が溢れる。膨れ上がった気持ちに、真祝は思わず二海人に飛び付いた。
いつもは言葉が少ないくせに、何でこんなに的確に自分の欲しい言葉をくれる?
そのまま2人で勢いよく倒れ込み、横たわりながら視線を交わす。
「おま……っ、危ねぇだろ。いきなり何す…… 」
「二海人、大好きだよ 」
息を飲む音が聞こえた気がした。瞠目した瞳に、二海人が酷く驚いているのが分かる。
「 好き。大好き、めちゃくちゃ好き、愛してる 」
「まほ? 」
「ねぇ、ちゃんと俺の気持ち伝わってる? 」
αだって、βだって、Ωだって何だっていいんだ。二海人だったら、俺は何だっていいんだ。
真祝を見詰める二海人の眼差しが柔らかく緩む。
「知ってるよ。出逢った時からね 」
「は? 出逢った時って……、小学生じゃん! 」
「友達になる前からずっと俺のこと見てたろ? あんなに可愛い子が、何で俺のことをそんなに見るんだろって思ってた 」
「かっ、可愛いって 」
「あぁ、勿論そういう意味 」
ケロリと告げられて、かぁ……と頬が熱くなる。
そうだ、聡い二海人が俺の気持ちに気付いてない訳なかった。告白なんかしなくったって、俺の気持ちなんかバレバレだったんだ。
「じゃあ知ってるだろうけど。俺、嫉妬焼だから、覚悟してね? 」
「そんなの、お互い様だよ 」
ぷっと吹き出した二海人が言う。
ぎゅっと抱き付くと、二海人の胸の中はとても暖かくて良い匂いがした。やっぱり本物が1番いい。
じゃあ二海人、これは知ってる? 僕の幸せって、全部ここにあるんだよーーー。
『おわり』
2022.2.5
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