月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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「今は俺のこと恨んでも、最後までは手を付けなかった俺に、いつかお前は感謝するよ 」 二海人が言うや否や、暖かく柔らかいものが、蜜の滴る真祝自身を包む。 意味の分からない事を言われて言い返そうとした言葉は、真祝の喉奥で止まった。 代わりに、いきなりの蕩けてしまいそうな感覚に矯声が漏れる。 「あっ、あ……っ? 何、これ、なに……? 」 無意識に自分に手を伸ばすと、二海人の短めの髪が指先に絡んだ。 何をされているか瞬時に理解して、真祝はギョッとする。 「……っ?! やっ、ふみ……っ、何してっ 」 後ろを指で弄られながら、敏感な場所を口の中に含まれ、目の前がチカチカする。あまりの快感にどうしていいか分からない。 ただ、自分の発情期に付き合ってくれているだけの二海人に、こんなことまでさせてはいけないと思った。 「やめ……っ! ふみ……っが、こんなっ、しなくていいっ……からっ! 」 足の間に埋められている二海人の頭を押し退けようとすると、真祝をくわえたまま、二海人が顔を上げる。 けれど重なった視線に真祝が言葉を失うと、二海人がその綺麗な漆黒の瞳をゆるやかに細めた。 「……いいから、()がっとけ 」
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