月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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そう言うと、じゅるりと音を立てて真祝を吸い上げる。 普段なら言わない乱暴な物言いさえ、ときめきとなって胸を貫ぬく。 扇情的な行為は網膜に焼き付いて、いたたまれなさに瞳を閉じても、薄暗い部屋に響く淫らな水音とともに真祝の肌を粟立たせる。 こんなに身体がとろけそうになってしまうのは、こんなに心が震えるのは、発情期だけのせいなんて言わせない。 いくら二海人が認めようとしなくても、自分の気持ちは自分が1番よく分かっている。 俺の気持ちは、俺だけのものだーーー。 「ねぇ、好き……、好きだよ、二海人…… 」 堪えきれない声を手の甲を噛んで逃がしながら、真祝は切ない気持ちを言葉にする。 叶わない想いを何度も繰り返し言葉にして、真祝は何度目かの高みを迎えた……。
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