月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

4/41
前へ
/329ページ
次へ
年々、新薬の作られる抑制剤は、保険が利かない。 値段だって馬鹿にならないし、それなら飲まない方がマシと割り切った。 どさっ……と、真祝(マホギ)はベッドに倒れ込む。 額から汗が吹き出てくるのが分かる。 ……だからって、発情期は発情期で辛いのだけど。 「二海人(ふみと)、助けてよ……、お願いだから…… 」 早く、俺んこと、お嫁さんにしてよ。 真祝は自分自身の昂りに、そっと手を伸ばす。 細い指を絡めて、吐息を溢しながら、こんなものでは足りないと思う。 毎日、二海人のことだけを想って暮らしたい。 あの大きな手に抱かれて、二海人の為に生きていきたい。 けれど、小さな頃から決めていたのに、何十回、何百回とした告白にツレない男はただの一度だって答えてはくれないのだ。
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2821人が本棚に入れています
本棚に追加