月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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……相当な美少女だ。 ふわりとした明るい色の髪は自分のものだろう。 整った鼻梁、瞳を縁取っている、髪と同じ色のけぶるような睫毛は細かく揺れている。 けれど一番印象的なのは、大人しそうに見えるのに、こんな状況でも気の強そうな瞳だった。 「そうだよ 」 随分とキラキラした子だなぁと思いながら真祝は、いざという時の為に持ち歩いている薬とペットボトルを取り出して女の子に渡す。 「はいこれ。 水はまだ開けてないから。 」 渡された抑制剤と真祝の顔を見比べながら、「本当なんだ 」と女の子が呟いた。 「男の人、ですよね? 」 同情するように言われて、真祝は苦笑する。 「女に見える? 」 ふるふると首を振りながら、それでも女の子は相反することを言った。 「見えないけど……、とても、綺麗だから、……もしかしたらって思って 」
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