月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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「だから、おまえも“いんらん”なんだよっ!おとこのくせに、おんなみたいなかおしてるもんなっ 」 そうだ、そうだと周りの子達も言い立てる。 母にそっくりな、真っ白い肌と小さな顔。染めた訳でもないのに色の抜けたような明るい栗色の髪と、同年齢の子と比べて薄く線の細い体つきは女の子みたいで、確かに間違われることもしばしばあった。 「おとこおんなー!」 「おとこんなー!」「おっとこんなー!」 真祝は両脇のランドセルの背負いベルトをぎゅっと掴んだ。 言い返せない自分が悔しい。 目の奥がきんと痛くなって、涙を堪える為に口唇を噛み締めて俯く。 悔しいっ、悔しい……っ! 「おとこおん…… 」 中心になっていた子が、泣き出しそうな真祝に気付いて面白そうに一際大きな声を張り上げた時だった。 「なにしてんの? 」
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