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この世界は3つの次元が入り交じっていた。
人間、獣人、魔族
この種族は1000年も前から三つ巴の争いを繰り広げ今も尚続いている。
人間は人工的に開発した力で戦い、獣人は野生の力で、魔族は魔力と言う特別な力で、それぞれが異なったエネルギーを駆使して戦っていた。
何故、1つの世界で分かり合える筈のない全く異なる種族が生まれてしまったのか…。
1000年も司るその時代、元は3つの世界が存在していた。
人間が暮らす青海、獣人が暮らす緑央界、魔族が暮らす魔界。
理が保たれたその時代は1つの出来事で全てを変えた。
“時空統合”
1つの世界になったのはこの出来事が始まりだった。
時間の流れは3つの次元の間に行き交う3グループの粒子の働きによって成り立っている。
しかしその1つのグループの粒子が何らかのズレにより他組の粒子の流れに衝突してしまい流れが止まってしまった。衝突部分で全ての粒子の流れが塞き止められ遂には大きな時空破壊を招く爆発を起こしてしまった。
そうして時空破壊の影響で3つの世界には大きな穴が空き、そこから時空引力が引き寄せたことで1つの世界となってしまったのだ。
3つの次元が重なり生まれた世界を今ではこう人々は言う。
“交差世界”
天暦1890年
枯れ木が数本、それ以外は白い砂地が全面を埋め尽くし、地平線の先まで続いていた。
砂漠地帯のようだった。
地上の明かりは皆無に等しく、上空は無数の星の光を映し、白銀の月が砂漠を照らす。
そんな幻想的だが人気のない砂漠にわずかな人の群れが訪れていた。
木製の建物が円を描くようにポツリポツリと寂しく建ち並び松明だけで明かりを灯す小さな集落らしき場所。
よく見ると集落の中央には大きな十字架に縛り付けられた男がいた。
「…ふぅ。さてさて、何か言う残すことはないか龍派族の死に損ない」
縛り付けられていたのは獣人である龍派族の者だった。
「はぁはぁ…。くく」
男は薄ら笑みを浮かべ人間達を十字架から見下ろした。
「何がおかしい」
「俺達は死んでも呪う。そしてその呪いは誰かが受け継ぎ報復してくるだろう」
「…」
「優越に浸るんだな今のうちに」
それがその男の最後に残した言葉だった。
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