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〈物件No.1 語り・鷹雄〉
その奇妙な店は、都内某雑居ビルの三階にひっそりと看板を出していた。
『奇天烈不動産』
いかにも胡散臭いが、この春に晴れて夫婦になった俺こと弥島鷹雄と妻のこう子は焦っていた。
都内に俺の転勤が決まり新居のための賃貸を探しているのだが、なかなか家賃と折り合いのつく物件が見つからない。
贅沢は言わないから早く見つけたくて、一件でも多く当たろうと思った俺たちはその店に躊躇なく足を踏み入れた。
それが全ての始まりだったのだ……。
「なるべく駅近で8万円内ですね、ええ、ええ」
揉み手の営業マンが、
「では、まずはこちらをご覧ください」
と言ってきた物件がコレだ。
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