第19章「ムッシュ・ガリッグの体験談」

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第19章「ムッシュ・ガリッグの体験談」

 ムッシュ・ガリッグは、週に1、2度必ず仲間の誰かを夕食に招待していた。  そこでは自家製の豚のレバーのパテが出される。豚製品が手に入りにくいイスラム圏の国では、なかなかのごちそうだった。奥さんが自慢の料理でもてなせば、彼は得意のスピーチで食卓を盛り上げた。  それは話し始めると、もう止まらない。ジェットコースタートークだった。  たわいない会話から体験談、ちょっとしたオチのある小話…。お開きは、いつも深夜1時を過ぎていた。  ここでは彼から聞いた体験談の中から、記憶に残っているものをいくつか紹介しよう。 第1話「凶暴な原住民」  ワシは、ジャングルの奥地にだっていったことがあるぞ。  何をするって?  決まってるだろ、コンビナートを作るのさ。 そりゃあ場所がジャングルだからな、作りかたが全然違う。周りのことなんか気にしないからな、とにかくものすごい。まるで戦争でもおっぱじまるんじゃないかと思うくらい。  まずはヘリコプターか飛行機で、空からナパーム弾を落とすのさ。  そうすれば直径200メートルくらいに渡って森は火事になる。もうもうと一帯を焼き尽くすのさ。  一時間もたって火がおさまったところでな、鉄条網を張って焼け跡を囲ってしまう。  それから必要資材をどんどん空輸する。
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