僕が君に触れるとき

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 僕の好きな人は、ガラスを一枚隔てた向こう側にいる。  彼女は僕の幼馴染。名前を美湖という。美しい湖で美湖。綺麗な響きだ。  僕と美湖が出会ったのは、おそらく必然だったのだと思う。僕が小学三年生の時にこの街に引っ越してきて、その隣の家に住むのが美湖だった。  美湖は、会ったときから美しいという言葉がこの世で一番似合うような女の子だった。肌が透き通るように白くて、パッチリした二重で、頬は林檎のようにほんのり赤かった。顔立ちも綺麗だったのだけれど、それ以上に衝撃だったことは周りの女の子とはまとうオーラが明らかに違っていたことだ。  僕が同じクラスに転校してきたとき、休み時間に美湖は廊下側の一番後ろの席でひたすら読書をしていた。これくらいの年齢なら外に遊びに行ったり、女の子の友達とおしゃべりをしたりするのを好むだろう。
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