僕が君に触れるとき

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「今日はどんな本を読んでるの?」 「自殺と時季の関係性を説く話」 「面白い?」  そんな死と関連するような本を読まないで欲しい、と言おうとして、美湖は自分のすることに口出しをされることが一番嫌いだったことを思いだして僕は言葉を変えた。 「愚問ね」  僕のとっさに口から出た質問は心底つまらないものだったようだ。  読書に集中する美湖を観察する。今にも細い折れてしまいそうな細い手首が、カーディガンの下から覗いていた。  ――本当に、散ってしまうのではないか。  そんな嫌な考えが、ここに来るといつも頭を過ぎるのだ。
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