10人が本棚に入れています
本棚に追加
ジーナの心中を察したのか、長老は話を変えた。ジーナは微笑みを浮かべ、
『よく育っています。一度、厩舎へご一緒してくださいませ』
『そうね、一度見に行きましょう…』
祖母の言葉にジーナは口許を緩めた。
その時、部屋にノックの音が響いた。ジーナがドアを開くと、そこに立っていたのはタカヒロだった。
『タカヒロ様…ごきげんよう…』
ジーナが頭を下げると、タカヒロはにっこりと微笑んだ。
『タカヒロ様、いかがされましたか?』
老婆の問いかけにタカヒロは妖しい微笑みを浮かべる。
『ジーナにお願いがあって…』
『わたくしにですか?』
タカヒロの急な言葉に戸惑いを浮かべるジーナ。
ジーナはタカヒロを部屋の中に招き入れようと背中を向けた。その彼女の手をタカヒロが掴む。驚いて振り返るジーナ。タカヒロは掴んだ手を引き寄せ彼女の耳元で囁いた。
『わたしのパートナーになってはもらえないだろうか?』
唐突なタカヒロの言葉にジーナ頬を真っ赤に染めている。
『え?』
言葉にならないジーナを見てタカヒロは笑い出した。
『タカヒロ様、わたくしで遊ぶのはおやめくださいと、何度も申したはずです!』
言葉を荒げるジーナの様子にさらに笑い声を高くするタカヒロ…
『いや、ジーナ、今回は本当にパートナーをお願いに来たのだよ』
『お断りします』
ジーナの機嫌を損ねたことを感じたタカヒロは笑うのをやめてジーナに向き合った。
最初のコメントを投稿しよう!