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『必ず…』
『そうか…それを聞いて安心した』
『ですが、この世界の彼らは我らと戦った記憶はありませんが…』
『では、別人ではないか…』
『仕方ありますまい。この世界での彼らは、まだ幼い子供でしょうから…』
『しかし、必ず我らの前に現れる。タカヒロ様はそう信じているのですね?』
今まで黙っていたナオキが口を開いた。
『ああ、勇者はこの世界でも勇者のはずだからな…』
『マツ様、待ちましょう…またいずれ出会うことのできる、その日を…』
『そうだ…』
奥から声が響き、キングが現れた。
『彼らは必ず、この国を、民を守るために我らの前に現れるはずだ。ならば、その時を楽しみにすればよいのだ』
『キングの仰せのままに…』
マツはキングの前に跪き、その頭を垂れた。その隙にタカヒロはナオキに近づいた。
『ナオキ、頼みたいことがある…』
『はっ!』
大袈裟に声を上げようとしたナオキの口を押さえたタカヒロは彼の耳許で顰めた声で話す。
『ジーナには、お前から話してくれないか?』
一瞬、言葉に詰まったナオキだったが、タカヒロたっての頼みでは断ることもできない。いつもより低い声でナオキは
『かしこまりました』
と、答えた。
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