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勇者たちが元の世界に戻ってから、早六年の月日が経っていた。
ジーナは16歳になり、彼女はテシ族の使命に乗っ取り神馬を育てていた…
そんな頃だった。キングが退位するとの話が王都で囁かれていた。
民たちは次のキングになるのは誰かと、下世話な憶測を飛び交わせていた。
『もちろん、剣を司る王のアツシ様だろう…』
『しかし、魔力ではタカヒロ様の右に出るものはいないぞ』
『はいやー!』
そんな話にも耳を傾けることなく、馬を走らせる少女がいた。
少女はまるで飛ぶように走るその馬の手綱を操ると王宮の門をくぐった。
『ジーナ様、そろそろ供をおつけください…あなた様に何かあっては困ります』
馬の首を撫でるジーナの姿に気づいたショーキチが駆け寄っていく。
が、ジーナは視線を馬から外すことなくそれに答えた。
『あなたが私に意見しようというのですか?私の育てる神馬に追いつける馬がいるとでも?よもや、この私が馬から落ちることを心配しているの?』
『いえ、そのようなことは…』
『ならば、これ以上の口出しは無用です…』
ジーナは自分に鼻をすりよせる神馬を厩舎へと戻すと、王宮に入っていった。
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