10人が本棚に入れています
本棚に追加
『また、うまくかわされたなショーキチ』
『テツヤ…笑い事じゃねーよ。ジーナ様に何かあっては大変なことになるのだぞ』
ジーナの姿を見送ったショーキチにテツヤが声をかけた。
今テシ族の生き残りは彼女と彼女の祖母である長老だけ…万が一老齢の長老に何かあった場合、彼女はテシ族の使命を受け継ぐ次期長老という身だ。
『だが、今の平和な世で、彼女に手を出そうなどという輩はおるまい』
『ジーナ様は分かっておられぬ…彼女は美しく成長された…そのお姿だけでも、よからぬ者が寄ってくるきっかけになるかもしれぬということを…』
『確かに、見た目では気の強さなど分からぬからな…』
二人がそんな話をしていることなど気にも留めず、ジーナは部屋へと戻っていった。
『ジーナ…』
部屋に戻ったジーナに祖母が声をかけた。
『おばあちゃん、起きてて大丈夫なの?』
『そろそろ結婚を考えておくれ、お前はテシ族の生き残り、早く子を為しテシ族の血を残さねばならぬ…』
『またその話?私はまだ、そんなこと考えられないって言ってるじゃない…』
『ジーナ、どんなに待っても勇者様は戻っては来ないのですよ』
『分かってるわよ、あの方にはご自身の世界でやることがあるのだってことくらい…でも、今はまだ…』
祖母の言葉を否定はしないものの、彼女はタカノリのことを忘れることはできなかった。
『キングが退位されるかもしれぬ…新しいキングに献上する神馬はどうです?』
最初のコメントを投稿しよう!