第8章「受難の授業」

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「お前さんのアレって何のことだ?」  ここまでくると、もう論理がむちゃくちゃ!   相手をする気にもならない。彼が勝手に喋り続けている。  自分のセリフに酔っているとしか思えない。 (※ 女性読者のみなさん、ぼくのように品のいいお子様たちへ。 ここから先は読まずに、次の章までワープすることをお勧めします。)  -- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 「よし、そんなにいうならオレのアレを見せてやる!」  こちらが何もいわないのに、自分のズボンのベルトを外し始めた。  チャックを降ろし、前を開ける。  彼は座っているぼくの前に立ちはだかった。他の生徒たちに対しては背を向けた格好だ。  やおら自分の一物を取り出し、ぼくのデスクに乗せた。それをつまんでは机の上をたたく。 「ピッタン、ピッタン、ピッタン、ピッタン…」  ズボンを下げたあたりから、ぼくはもう目をそらしていた。飽きれて物もいえない。ひたすら無視することにした。  背中を向けているとはいえ、生徒はとっくに気づいている。自習中の静かな教室に、こんな妙な音がするんだから。 「ピッタン、ピッタン、ピッタン、ピッタン…」  こういう時こそ仲裁者が 「イスマハリ、イスマハリ」 と割って入ってきてほしい。  しかし実際は誰も止めようとはしなかった。成り行きを面白がって、興味深く見守っている。  ピッタンをやってるうちに彼の表情が変わってきた。怒るどころか、笑顔になってくる。そこでぼくは思い出した。  子どものころの遊びを……。  ウチは、上の3人が全員姉だった。  身内がいうのも何だが全員美人だ。  しかし子どもとしては、男同士のほうが遊びやすい、  近所で男の子ばかりと遊んでいるとき、よく姉がぼくを見つけた。 「リョウイチ、楽しそうね。わたしも遊ぶ」 そういうとき友だちは 「おい、あっちにいこうぜ」 とぼくを残して立ち去る。 姉は3人もいるから、毎日のように誰か1人はぼくと出会くわすことになる。 「仲間に入れてよ」 くらいならまだいい。そこは女の子だから 「そんな遊び、汚いからやめなさい」 「そこは危険だから離れなさい」 と、すぐ口にする。男の子はみんな白けてしまう。
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