第8章「受難の授業」

11/11
前へ
/31ページ
次へ
「リョウイチがいると、姉ちゃんが寄ってきて困る」 と仲間はずれにされそうになった。  あるとき、ぼくはいいことを思いついた。 「そうだ、男の子と遊ぶ時は、絶対女の子が仲間に入れないようなことをやればいい」  たとえばおしっこの飛ばし合い。あるいはおちんちんの見せ合い。これを続けていたら、姉たちは近づいてこなくなった。それだけじゃない。  ぼくが、友だちの中心となった。  あの遊びのおかげで、男同士の仲間意識や連帯感が不思議と出てくるようになった……。  目の前で彼がやっている行為も、それと似たようなもの ではあるまいか。そう思うと憎めない。  他の教師には、ぼくよりもっと相手にされてないんだろう。ぼくが彼を車に乗せてくれようとしたので、親愛の情を感じ、仲間意識をもったのではなかろうか。  しかし慣れ親しみ過ぎて、一線を越えてしまった……。  しばらくしてピッタン、ピッタンは終わった。  彼は満足したのか、ニコニコして席に戻った。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加