無神経な彼と被害被る僕(社会人)

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 得意先へと新商品の導入の為、僕の勤める会社では生産と発送業務に追われていた。  品質管理課の僕は、普段は在庫管理や試験などをおこなっているのだが、人手が欲しいと言われて生産管理課の応援として工場にいる。  納期に間に合うように残業と休日出勤をしており、やっと目途がついた頃にはクタクタとなっていた。  工場での仕事を終えて事務所へと戻る。仕事はまだ残っていたが「あがっていいよ」と課長から言われた。  これから事務の仕事をするのはしんどい。疲れきった頭では能率は上がらないしミスを起こして迷惑をかけてしまうかもしれない。  お言葉に甘えて、僕はお先に失礼しますと挨拶をして更衣室へと向かう。  汚れた作業服から私服に着替えていると、大原(おおはら)と名を呼ばれてそちらへと顔を向ければ、僕より一つ上の先輩である、経理部の高野(たかの)さんが「お疲れ」と手を上げる。 「おつかれさまです。納期に間に合ってよかったですね」 「そうだよな。仕事が忙しいという事は喜ばしいことなんだけど、俺、足とか腕とか筋肉痛……」 「僕もですよ」  慣れない仕事で、普段使わない箇所が悲鳴をあげていたりする。  現場の人は毎日大変なのに、少し手伝った位で情けないが明日から三連休で正直助かった。 「酒でも飲んでゆっくりしたいよ」 「ビール、美味しいでしょうね」  仕事の後の一杯は、きっと最高の味だろう。  僕は頭の中でキンキンに冷えたビールを想像してしまい、ものすごく飲みたくなってしまった。 「大原、今から予定あるか?」  仕事の目途がつくまではと思っていたので、この後の予定は特に何もない。 「いえ、ありません」  そうこたえれば、一緒に飲みに行かないかと誘われて、僕は即OKした。    さっそくと、二人は会社から近い馴染みの居酒屋へと向かった。
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