第12章「同居者・色男講師ヤイ」

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おかずは、毎回必ずニワトリ料理だ。  トマトソースで煮込む。1、2回はおいしいと思って食べていた。でも3日目からはあきてくる。毎日続くと苦痛だ。二週間続くと拷問だ。 ある日ヤイにこういった。 「ぼくはもういい。ニワトリはおいしいし、お前さんの料理はすばらしい。とにかくお前さんの好きなようにしてくれ。ぼくは、自分の好きな物を料理する」 こんなことをいわれたら怒りだすかと思ったが、彼はニヤッとしただけだった。 「そうかそうか。おれの料理はまんざらでもないか」 ストレートにほめてもらったと、喜んだだけなのか?  それとも、ちゃんと理解したのか。よくわからないが、そのあと気まずくなることはなかった。  彼と仲違いすることもなく、それからは平穏な日々が戻った。
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