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あのあと、お互い気まずいまま1日が過ぎた。ふたりの間だけではない。家庭全体が暗くなった。
そこでぼくは事態の収拾を計った。心の奥底では
「自分は悪くない」
と思いながらも、自ら進んで母に謝罪した……。
ん?
違う、違う。そうじゃない。
ついつい、自分の都合のいいように記憶を改ざんしてしまった。
真実はこうだ。
姉3人が、ぼくと母の間に立ってくれたんだ。
「リョウちゃん、ほんとはいい過ぎたと思っているんでしょ?」
「ほら、リョウイチも反省しているようだし」
「お母さん、許してあげて」
こうして何とか仲たがいは収まった。ぼくもンガンドウも同類の能天気。違ったのは、仲裁役がいたかどうかだけだった。
ちなみに『ん』で始まる名前は、彼の国では珍しくない。
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