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「……もしかして結婚指輪?」
「それもあるけど、その前にエンゲージリング、ね」
「エンゲージ……」
小さく呟いて、黎子さんは俯いてしまった。
おおっと、これはやっぱりそんなの要らないっていうパターンか?
想定内ではあるけど、俺はソファの上で隣に座った黎子さんの左手をおもむろに取る。
「そうだよ。ここに指輪、嵌めさせて?」
「……そういうの、なくてもいいよ?」
「あってもいい?」
すかさず突っ込んで、薬指に音を立ててキスをする。
明らかに動揺した黎子さんは、「……俺、ちゃんとお金貯めてたよ」と、あざとく年下ぶって拗ねたふりをしたら、あっさり折れてくれた。
前言撤回。
黎子さん、ちょろすぎる。
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