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忘れるな忘れるなと言い聞かせ続けた脳内に、バタンと大きな音が割り込む。
俺の部屋のドアが閉まった音だった。
……漸く。
漸く二人きりになれた。
漸くだ。
どれだけこの時を待っただろう。
黎子さんに嫌がられた、という事実を受け止め、接触を避けてから約一ヶ月。
本当に長かった。
触れたくて苦しかった。
愛したくて気が狂いそうだった。
鼓動が速すぎて、心臓が痛い。
耳の内側で脈がガンガン鳴っていて、音が聞こえない。
息をするのさえ苦しがりながら、ただひたすら欲しいのは目の前の女。
俺の唯一の人。
今すぐ喰らい尽くして、喘がして突っ込みたい。
嵐のような激情を荒々しい呼吸で押さえ込む。
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