第1章

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部屋の奥には女性が2人、あ、違う、3人いた。 窓の近くに置かれた机の前に座る、有名女子校の制服を着た可愛い女の子。 それに、私に声をかけてくれた20代前半の綺麗な女性、その女性に抱き抱えられた4~5歳の幼女。 幼女を抱いた女性が私の顔に気が付き、声をかけて来る。 「駅にいた方ですよね? お待ちしていました、どうぞお座りください」 机の前にある応接セットのソファーを指し示す。 その後、机の前に座る女子高生に声をかけた。 「この子の住所を調べさせに探偵事務所に行ってくるから、後をお願い」 女性は私に会釈して部屋から出て行く。 女子高生は無言で頷き、紙とペンを持って椅子から立ち上がり、私が座っているソファーの対面に座り直して、私に声をかけて来た。 「あなたのお名前と、住所、電話番号、その他思い出せる事を全て教えてください」 彼女の言葉に私は頭を抱えてしまう。 部屋から出て行った女性に声をかけられたとき私は、駅の構内で途方に暮れていた。 何故なら、名前も住所も電話番号も、何故その駅の構内にいるのかさえ思い出せず、構内のベンチに座り込み、思い出せない記憶を必死に手繰っているところだったから。 私は抱えていた頭を上げ返事を返す。 「思い出せない、一生懸命思いだそうとしているのだが、全然頭に浮かんでこないのだ。 どうしよう? これから私は如何すれば良いのだろう?」
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