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初恋は小学校5年生の時だった。
クラスの担任の先生 名前は一宮先生という若くて、優しくて、頼りになるカッコいい男の先生だった。
小学4年生の時に初めて女子からバレンタインでチョコレートとを貰った時に、不思議な気持ちになっていた。周りも女子からプレゼントを貰って中には付き合いだすやつなんかもいたりして、みんな浮かれていた。けれど俺はそのプレゼントがちっとも嬉しくなくて、家に持ち帰ってソレを捨ててしまった。
くれた女子に対して、嫌いとか好きとかそんな感情さえ生まれない。
ただの"無"だった。
他の女子と話していても"無"だ。いてもいなくても俺の人生にとってどうでもいい存在だ。
けれど、男子と話している時だけ自分の心拍数が上がっていることに気がついてしまう。
優しくされるとドキドキして、なんとなく気になって他のやつと仲良くしているとムカついたりする。
その感情が恋なんだと気がついたのは、5年生の担任先生に出会った時だった。今まで味わったことのない気持ちがこみ上げてきた。
自分を抑えられなかった。
先生に褒められようと、学級委員をやったり手伝いを進んでやった。宿題も忘れずにやった。
一度だけ、頭を撫でられたことがある。あの時の嬉しさは言い表せれない。
けど、先生は5年生の終わりに結婚することになってしまった。クラスのみんながおめでとうっと言っている中、俺は何も言えず立ち尽くすし泣いてしまっていた。
訳も分からず泣いているのを慰めてくれたのは幼馴染の晴だった。
これが俺にとっての初恋で、初めての失恋だ。
こんな苦い経験をしても、俺は惚れっぽいせいもあってか好きな人が時々いた。
それでも誰一人として、その恋を実らせることが出来なくて、気持ちを伝えられないまま終わってしまう。
惚れっぽい俺でも、幼馴染で親友の晴は特別だった。好きとか嫌いとか無とかそういうのとは違う。
だから晴を好きになることなんてありえないって
そう、思っていたんだ。
中学一年生の冬までは……
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