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晴は幼稚園の時から俺のそばにいてくれた。親同士が仲良しというところもあるけれど、仲良くなったきっかけは、幼稚園の入園式だった。
今現在もどちらかというと可愛らしい容姿の俺の幼い頃はそれに磨きがかかってよく女の子と間違えられていた。
親や周りから可愛い可愛い言われて育てられたからそれが褒め言葉だと信じて素直に受け止めていた。
けれど、入園式の時同い年のやつらに女みたいだとバカにされ指を指されて笑われ、からかわれた。
恐らく自分の親が俺を見て可愛いとかなにか褒めたのかそれが面白くなかったのかもしれない。今だったら軽く鼻で笑って受け流すけれど、幼い俺は訳が分からず泣いていた。
「やめろよ」
よくある話だけどそのいじめから助けてくれたのが晴だった。俺を庇うように間に入ってくれた晴はヒーローみたいでカッコよかった。
その時から俺は晴と一緒にいる。コイツといたら自分もカッコよくなれるんじゃないかと思って__
「ずっと、畑中のことが好きだったんだ」
中学1年生の冬、部活終わりに3年の加賀先輩に体育館裏に呼び出されて告白された。
先輩は、顔を真っ赤にさせてこの後飛び降り自殺でもするんじゃないかというぐらい切羽詰まっていた。
「……罰ゲームか何かですか?」
男が好きだなんて誰にも言ったことがない。そんな素振りをした覚えもない。たぶん……
加賀先輩はバスケ部のエースとして、部の中心人物だ。後輩思い出チーム思い、部長は自分はキャラじゃないからと辞退しているが、実際仕切っているのはこの先輩だ。そんな人が俺にとっては笑えないジョークを言ってきた。
変な汗が流れそうになる。
「いや、違う……ごめんな、急にこんなこと言って……俺達もうすぐ卒業だからさ、その、何も出来ないまま終わるのも嫌で……気持ち悪かったよな」
あぁ、この人も一緒なんだ。
世間の常識と自分の中の常識が違うことを認めて諦めているんだ。
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