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「スポーツ選手やアイドルなんかに必要なのは学校で習う知識の範囲外のもんだ。各々が各々の分野で生き抜くための『武器』を振るって金を稼いでいるってわけだな。運動も勉強も駄目。幼児体型と顔面は使い物になるかもしれねーが、そんな『武器』で何ができるってんだか」
言われ、北条紀伊は少しだけ考えてみた。
なんの才能もない自分が唯一平均以上と言えるもの。抜きん出ている箇所。『武器』。
『小さな』体躯と愛くるしい顔。
ぷにぷにと触り心地のいい白い肌に宝石のように輝く大きな瞳。マニアックな人種ならば泣いて喜ぶほどに『ある意味において』完成された属性。
つまり。
この身体こそが彼女の『武器』なのではないか?
「分かったか? ロクな『武器』もねー北条はとりあえず平均的な学力くらいは身につけておけ。マトモな道に進める土台を───」
「蓮だったら、私をいくらで買ってくれる?」
いきなりだった。
斬り込むように、突き崩すように。
「な、ん……だって?」
「だから、私をいくらなら買ってくれるかって聞いているんだよぉ~」
「お、お前なあ……っ!! 何のつもりでそんなふざけた寝言ほざきやがった!?」
「『武器』がないなら、学校で勉学に勤しめってことでしょ? だったら『武器』を有効活用して、生きていけばいいってことじゃん」
「なん、待て、馬鹿、どこで切り替わった? なんでそんな話になってんだよ!?」
「短時間でぼろ儲けできるし、マニアックな性癖を満たす『武器』を最大限発揮できるし、援交って私の天職じゃないかなぁ?」
とりあえず二度目のアイアンクローを叩き込んでやった。
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