38人が本棚に入れています
本棚に追加
――ザクッ。
どれくらい月日が流れたのか。
一週間? 一か月? それとももっとかな……。
ザクッ。
土の中で、ボクは大地と少しずつ溶け合っていた。それでもまだ、心はご主人さまの事を思ってる。
ちゃんとご飯食べてるのかな。
召使い、あれから雇えたのかな。
ザクッ、ザクッ。
またワガママ言って出ていかれてなきゃいいけど。
新しい召使いさんはご主人さまのイタズラに怒ってないかな。ていうか、ボクじゃない人にイタズラしてるのって、ちょっと面白くない。
でもワガママとイタズラはご主人さまの精神安定剤だし……。
ザクッ、ザクッ。
それにしても、さっきからザクザクと何の音だろう。落ち着いて眠れやしない……いや、寝てないけどさ……。
そう思った瞬間、目の前にあり得ない光景が映し出された。
「…………シルキー」
(……ッ!!!?!?!?!?)
ご主人さまが、見慣れた無表情でボクを覗き込んでいる。
「……やはり納得がいかん。私がいつ、お前に死んでいいと言った? 主人である私の許しもなく、なにをこんな穴の中で腐ってる」
(いや、落とし穴作ったのご主人さまだし! つまり殺したのアナタですよ!? てかコレ、墓荒らし墓荒らしーー!!)
最初のコメントを投稿しよう!