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あろうことか埋葬したボクを掘り返して、ほぼ白骨化した身体を外に引き上げ始めた。
コレは完全に死者を冒涜する行為……ご主人さまが狂ってる!
(あああ、ダメダメダメーー! ご主人さましっかりして! 目を覚まして!! コレはしちゃイケナイことだよーー!! )
「……狂っていると思うか? そんな事は無い」
まるでボクの声が聞こえているかのように、ご主人さまはひとりごちた。
「街がどこよりも寂しい場所だと知って、この屋敷に来た。一人の方がマシだとあの頃は思っていた。だから身の回りの世話をする者も最低限の頻度で雇っていたんだ。なのに……」
よく見るとご主人さまはずいぶん痩せてしまっている。無表情ではあっても、そのヘーゼルの瞳は真っ赤っか。
「お前が来てからというもの、姿が見えないと静かすぎて、なぜかザワザワと落ち着かず。それが突然、こんな風にずっと居なくなるとは……」
(…………ご主人さま……)
糊の利いたシャツしか身につけなかったのに、今のシャツはヨレヨレで。自慢のタイを泥だらけにして、ご主人さまがボクの骨を掻き集める。
「そんな事、許すわけにはいかんだろう……!」
穴の中、最後に残ったボクの頭蓋骨。それをそっと両手で包み、ご主人さまは真っ赤な目をクワッと吊り上げた。
「私は、寂しいのが一番イヤなのだーー!」
「んもぅ、ワガママなんだからーー!!」
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