38人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーひゅるん、と裏庭に風が吹き抜ける。
ボクの大声に、ご主人さまは鬼の形相のまま固まってしまった。もちろんボク自身も、眼球はないけど目の玉が飛び出るくらいビックリ仰天。
「え? え? ボク、ええっ!? なんでしゃべってゆの!?」
「…………」
吊り上がっていたご主人さまの目が、だんだんといつものクールな瞳に戻っていく。
「ご主人さま……あの、あの、ボク……。お化けになったったのかな……」
「なんであろうとかまわん。……お前であるなら」
イタズラが成功した時よりも嬉しそうに、幸せそうに、ご主人さまが目を細める。
……ボクのご主人さまはワガママです。
その破天荒なワガママは、死者を呼び戻してしまうほど……。
「でもでも、ボク……もう骨でち。なんか不気味だし、前みたいにちゃんと家事がでちるかどうか。……あっ」
ボクの頭蓋骨がフワッと宙に浮きあがった。そのままなんとなく気持ちが命ずるまま、移動が出来てしまう。
「おお、便利だな。よし、私が布か何かで身体のカバーをこしらえてやろう。足と手は適当にタコ糸か何かで繋げばいい」
「ハリボテみたいでち……それだって充分不気味」
最初のコメントを投稿しよう!