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鉄平は家族への手紙の文面を考えながらジャガイモの皮をむいていた。
ジャガイモの皮むきはそれほど嫌いではなかった。
小椅子に座りながら手さえ動かしていれば、とりあえずは上官に怒鳴られる事は少なかったからである。
鉄平がいる厨房車輌には長く食事に関する勤務を歴任してきた上官がいた。
『 飯は、俺が仕切ってんのじゃー』
と憚る事がない。
あれだけ あれは内の仕事じゃない その仕事は関係ないと他の勤務をはねのければ、そりゃあそうだろうと
部隊に配属されたばかりの鉄平にさえ察するに難くない。
その上官は何事にも怒鳴るのが日常だった。
耳が悪いと言う話しは聞かないから単に癖だろう、
只でさえ若年隊員の鉄平はカモであった。 だから鉄平も目を合わせない様に 怒られない様に仕事をする、それがジャガイモの皮むきであった。 バケツを二つ用意して水を浸した中で皮をむくのだ、片方のバケツがむき終わったジャガイモで一杯になったら保冷庫に入れる、それを繰り返す ジャガイモは沢山あるからその間は手紙の文面を考えられる 手紙は作戦の内容やそれを推測される事が書かれていないか検閲を受けるから 文面を考えなくてはならないのだ。
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