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「ウチは親父が始めた店なんだけど、バブルの頃はキ◯ガイみたいに売れたそうでさ。3万とか5万とか、そんな花束が並べただけ売れたって。一日の売り上げが300万を超える時も、ちょくちょくあったらしいし」
「う~~ん。それもちょっと、変な時代ですね」
「だよね。ウチの親父も、こんなお祭り騒ぎみたいなのは、その内に終わるって思ってたらしくてね。儲かった金を投資に回したんだ。バブルの時はずった貯め込んでおいて、弾けて土地の値段が下がった時に、駅向こうの土地を買って、賃貸マンションや立体駐車場にしたんだ。だから家賃収入だけで、食べていけるんだよ」
「そうなんですか。でも、じゃあ、なんで花屋さん、続けてるんですか?」
「……さあ? なんでだろ? 親父が閉めようとしないんだよ」
「お好きなんでしょうか?」
かもね。と圭助はスツールに腰を下ろした。
そしてメニューを手に取り、しばし見つめてからオーダーする。
「豚のおじや、大盛で」
「卵はいりますか?」
「うん。つけて」
「ここで食べますか? お持ち帰りしますか?」
ここで食べるよ。と圭助は答える。
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