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涛吉家の食事は、母親が事故で亡くなってから、基本買ってきた惣菜だ。
同じ商店街にある惣菜店や、肉屋で買ってきたオカズである。
この日は、これも商店街の中にある中華料理屋の、テイクアウトした餃子と春巻き。それと惣菜店で買ってきた野菜炒めと、おからの和え物だ。ご飯は炊飯器で炊いて、味噌汁はインスタントである。
テレビをBGM代わりに点けて、父と息子、無言で食事を頬張る。
「親父、この店はいつまで続けるんだ?」
「とりあえず、体が動くうちはやるつもりだ」
「この店って赤字だろ?」
「そうだな」
「なのに、なんで続けるんだ? 貯金はあるんだから、引退して温泉に行ったり旅行に行ったりして、楽しめばいいんじゃねえか?」
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