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おじやです。とその女性は言った。
え? と青年は聞き返す。
「え、なにの専門店?」
「おじやです。おじや専門店です」
二十代半ばくらいの女性は、やけにキッパリと答えた。
青年、涛吉圭助は、しばしポカンとしてから聞き返す。
「おじやって、あの鍋のあとにするヤツ?」
「べつに鍋のあととは限りません。ご飯と具を、多めの出汁で煮込んだ料理です」
「ああ~~と、要するに、雑炊のことだよね?」
「いえ。おじやです」
とその女性、弐輪千尋は、少し怒ったように言った。
圭助はやや狼狽えて、瞬く。
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