2.おじや始めました

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 重ねて収納できる金属性のスツールを四つ、屋台の前に並べる。  さらに、学校などによくある、脚を折り畳める長机。  そして最後に、金具に暖簾をかけた。 『おじや専門店(じゅるじゅる)』  と暖簾には書かれている。  圭助はそれらの作業をボンヤリと眺めてから、尋ねた。 「準備はできた?」  はい。とジーパンにトレーナー、それにエプロンの千尋は頷いた。 「じゃあ俺が、客一号になろっかな」  千尋は腕時計をチラリと見てから、言う。 「涛吉さんは、仕事はいいんですか?」 「あんまりお客は来ないからね」 「はあ。涛吉さんの店こそ、採算は取れてるんですか?」 「いや。ギリギリ赤字かなあ」 「……あの」
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