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重ねて収納できる金属性のスツールを四つ、屋台の前に並べる。
さらに、学校などによくある、脚を折り畳める長机。
そして最後に、金具に暖簾をかけた。
『おじや専門店』
と暖簾には書かれている。
圭助はそれらの作業をボンヤリと眺めてから、尋ねた。
「準備はできた?」
はい。とジーパンにトレーナー、それにエプロンの千尋は頷いた。
「じゃあ俺が、客一号になろっかな」
千尋は腕時計をチラリと見てから、言う。
「涛吉さんは、仕事はいいんですか?」
「あんまりお客は来ないからね」
「はあ。涛吉さんの店こそ、採算は取れてるんですか?」
「いや。ギリギリ赤字かなあ」
「……あの」
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