蠢く白

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「ありがとう、少し安心出来たよ。拓郎が大丈夫って言うなら、大丈夫って信じるね!」 加那はそう言うと、まだ手を付けてなかったクッキーを頬張りニッコリと笑う。 「俺が言うなら、、、か」 拓郎がポツリと呟いた一言。その言葉は店内の音楽に飲み込まれ、加那の耳には届かない。 思わせぶりなのか、本当にそう思ってくれているのか。又は、自分の気持ちに気付いていて誑かしているのか。いろんな想いが脳内を走る。が、未だに気持ちを伝える事が出来ていないのは、考えすぎる自身の性格のせいだという事はよく理解しているつもりだ。 今日だって本当は想いを伝える筈だった。幼少の幼馴染の時から抱いていたこの気持ちを、何年も心に抱えているこの想いを。 ーーしかし、今日もまたそれは叶わなかった。 他愛もない会話をしながら時間は無情にも過ぎていく。 「あ、もうこんな時間だ!」 慌てて立ち上がる加那。 腕時計で時間を確認すると時刻は19時45分。二人はテーブルを片付けると店を後にした。 改札を抜けた加那が振り返る。 「ーーまたね!」 そう一言告げると加那はホームの奥へと消えていった。 拓郎は電車が出発するのを見届けると、駅へと背を向け自宅への道を歩き始める。 駅から家までは徒歩だと30分程。いつもならバスを使って帰るのだが、今日は考え事をしながら帰宅する事にした。 考え事ーーそれは当然今日の出来事についてだが、拓郎の脳裏に引っかかっているのは、その件よりもちょっと後。加那を安心させる為、あらゆるサイトで検索をしていた時だ。 検索したサイトの中の一つに、加那が昼頃、竹の花の画像をアップしたサイトも含まれていた。当然検索すれば該当の画像として加那の写真が表示される筈なのだが、そのサイトに画像は存在しなかった。 加那はあれからスーマートフォンを操作していない、加那が削除したとは考え難い。電波が悪くて送信できなかったのだろうか?しかし、加那が確かに「よし」、と呟いたのを聞いている。となれば、誰か他の第三者が消したーー? 「まさかね」 消されるような画像でもない筈だが、なにがの手違いでアップ出来なかった可能性だってある。これ以上の思考は無駄だと、拓郎は思考を止め、無心で帰路を歩く。
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