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突然現れたそれは直視できないほどに眩く全身から発光していた。 片手でその強烈な光を遮りつつ彼がなんとか見据えたその姿は、光り輝く人間だった。 全身から発せられている光のために輪郭は朧げだったが、純白の清貧な衣をまとい、肉付きのいいがっしりとした体で、穏やかでふくよかな顔をしていることはなぜかしっかりと視認できていた。 髪型は非常に独特ーー小さい球状に纏められた髪がいくつも乗っていている感じーーで、彼の多く無い知識の中で形容するならそれはパンチパーマだった。 このさいはてのような森林にはあまりにも場違いな神々しい素足の中年男性を、心象中でのみ訝しむと、それはそれを自身の耳で聞いたかのようにこう答えた。 「私はおっぱいの神です。」 その声は今ある空間全てを同時に、そして均一に震わせるような神秘的な響きだった。 その威厳に満ちた声を、彼は耳だけでなく全身で聞いた。いやもっと人間として深い部分、心と精神でも。 しかし、ああ、なんてこと!男なのに! 彼は不安と恐怖に駆られて取り乱した。
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