O.Aガール!

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 細々としたおつかいを終え、スタッフルームへ戻ると、中央の円卓では会議が行われていた。急いでノートを手に、ホワイトボードを立ち見する輪の中へ混ざった。そして書かれているネタを必死に書き写しながら、思わず「えっ……」と声が漏れた。  じろりと数人の目がこちらを向く。 「どうした朝未!」  雷のようなチーフの声が飛んでくるが、通常営業だ。一瞬口ごもるが、恐る恐る口に出した。 「その火事の起きた住宅……中学の頃まで住んでいた家の近くなんです」  放火事件。住人は出かけていて助かったものの、一室がまるまる焼けた大きなものだ。近所の人が被害者宅から男が逃げていく様を目撃したということから、その男が第一容疑者だが、まだ捕まっていない。  外からの付け火ではなく、家の中に灯油を撒いての犯行。怨恨がらみではないかということだが、動機は不明。警察は逃げた犯人の特定を急いでいる……。  チーフは何か考え込むようにして、よしと大きな声で決断を下した。 「中野! 取材に朝未を連れて行け」 「え!?」  通常取材に行くのはディレクターだけ。ADが行くとすれば、せいぜい街録ぐらい。それすら新人が任されることはない。  それが私も取材に同行!?  新人ADには隕石級の奇跡だ。 「やります!」 「だから行けって言ってんだ。とりあえずカメラは後で手配するから、今すぐ出ろ」  私はすぐに、あらかじめ用意しておいたロケハングッズを手にすると、中野さんを急かすように局を出た。
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